肩こりを解消するために必要な体の仕組み


肩こりを解消するためには、体の基本的な仕組みを理解しておくと、その原因や解消方法についても理解が深まります。

全ては肩こりを本気で治すために。

そもそも肩こりとは何か?

肩こりといえば、肩が重い・だるい・張っているといった感覚的なイメージがほとんどだと思います。

確かにその感覚は間違ったものではないのですが、それでは肩こりの時、体の中に何が起こっているのでしょうか?

私たちの人間の体は、とても精巧にできてはいますが、あまりにも複雑な仕組みで動いているため、時折こうした問題が起こってしまいます。

ここでは、肩こりに関係する体の仕組みについて見ていきましょう。

肩こりに関係が深いのは神経と筋肉

肩こりのことを探るために、知らなければならない体の仕組みとは、肩こりにとても関係の深い神経と筋肉です。

肩こりを感じる人の多くは、肩がパンパンに張って硬くなっているという感覚を持っているでしょうから、筋肉が関係するというのは、なんとなく想像できるのではないかと思います。

しかし筋肉はひとりでに動くものではなく、神経の命令を受けて動いています。

つまり、神経と筋肉はセットになっていて、この2つなくして肩こりは語れません。

神経は体全体の司令塔

神経とは、人の体の中でも最も重要なものといって良いでしょう。

神経は体の司令塔の役割を果たしていて、全てがここからの命令によって動いています。

例えば、『右手の人差し指を曲げたい』と考えると、指が勝手に動いているわけでありません。

必ず、脳→脊髄→右手という順番で電気信号を送り、それが筋肉に伝わります。

そして筋肉は、指を動かすために縮んで、筋肉がついている骨を動かします。

何気ない動きの中にも、こうした作用が働いているので、筋肉も脳の命令がないと動くことができません。

神経は体の相談役でもある

神経は、ただ一方的に命令を下すだけではなく、体の隅々の声を聞く相談役という一面も持っています。

例えば、熱いものを不意に触ってしまった時、びっくりして手を引っ込めると思いますが、こういったことができるのは、神経がしっかりと体の声を聞いて、熱いものを熱いと脳に伝えているからです。

脳はそれを一瞬で聞き入れて、即座に『手を引っ込めなさい』と命令を送ります。こうして突然の出来事に考える暇が無い時でも、神経が体を動かしてくれます。

他にも、不安定な地面の上でも人間が倒れなく保っているのは、位置情報を神経がキャッチして、それに適した筋肉を働かせて姿勢を保っていたりと、人が行う全ての動きに神経が関与します。

神経は体の見回りもしてくれている

さらに、神経には体の隅々を見回りをするという役目も持っています。

これは自律神経と呼ばれるもので、先ほどまで例に出ていた体の動きを命令するものとは違い、心臓や胃腸などの内臓の声を聞いています。

自律神経は環境に合わせて血圧の上下をコントロールしたり、消化や吸収をコントロールしたりと、人が生きていく上で欠かせないのに、自分の意思ではコントロールできない部分を調整してくれます。

また、日中や活動が盛んな時は、体の働きをアクティブにしてくれたり、反対に眠る時は体の興奮を抑えて、眠れるように導いてくれるのも自律神経の働きです。

筋肉の働き

筋肉は神経にコントロールされるということに触れてきましたが、ここではその筋肉についてもう少し詳しく見ていきましょう。

筋肉という言葉を聞くと、ボディビルダーやスポーツ選手の大きな筋肉が連想されますが、そういったものばかりでなく、筋肉は大きさや太さに違いはあれどみんなについています。

筋肉の働きは、そんなに複雑なものではなく、大雑把に言うと『神経の命令を受けて縮む』ことしかできません。

ただ、この縮むという働きはとても重要で、筋肉が縮むことで関節を動かしたり、骨を一定の位置で支えたりと、重力下で生きる動物に欠かせない能力になっています。

筋肉は収縮することで力を発揮する

筋肉の最大の力である、『縮む』という能力は、筋肉に神経から命令が届くと、筋肉は文字通りその身をぎゅっと縮めます。

そうすることで、筋肉の長さが短くなり、骨を引っ張って関節を動かすことができます。

この働きが一番想像しやすいのは、力こぶを作った時ではないでしょうか?

力こぶを作ろうとすると、肘をぐっと曲げて二の腕の筋肉が盛り上がります。これはまさに筋肉が縮んでいるから起こる現象で、その盛り上がって硬くなった部分が神経の命令を受けて縮んだ筋肉です。

私たち人間の体には、たくさんの骨があり、関節がありますが、そのすべてに筋肉は付いています。

私たちの体で、動かすことができる部分には必ず筋肉が存在すると考えていいでしょう。

因みに、肩こりを感じる場所にある筋肉は、首を前後左右に動かす時や、肩をもち挙げる時に縮む筋肉です。

筋肉が休まるのはどんな時

さて、筋肉には縮むしか能がないというお話でしたが、ずっと縮んでいるのかというとそうではありません。

筋肉は、神経からの命令がない時は、基本的に脱力しているものです。

先ほどの力こぶの例で例えると、肘を曲げた時は縮んで硬くなって、力を抜いてだらんとした時には、力こぶはなくなって、二の腕は柔らかくなっているはずです。

寝転んで体の力を抜いてリラックスすると、全身のあらゆる筋肉は脱力した状態になるということです。

他の筋肉が縮んでいると反対側が伸びる

縮むか脱力するか、この2つの作用だけでは、心もとないので、筋肉にはもう一つ休息する時間があります。

それは自分と反対の動きをする筋肉が縮んている時です。

これは拮抗筋と呼ばれるもので、二の腕の例に例えると、力こぶの反対側の筋肉、つまり二の腕の背中側の筋肉は肘を曲げることによって、伸ばされています。

縮む作用とは反対に、筋肉が長くなり、ストレッチされた状態になります。

人の体には、表と裏、お腹と背中、内側と外側、右と左というように筋肉がある所には、必ずその拮抗筋があります。

毎日する様々な動きの中で、この縮むことと伸ばされることを繰り返している為、極度な負担をかけることなく、私たちの体を支えてくれているのです。

筋肉のバランスが崩れると

こうしてとてもよくできた筋肉の仕組みなのですが、この様に上手く働いてくれれば、肩こりなどの問題は起きません。

肩こりはこの筋肉のバランスが崩れた時に起こります。

例えば、肩の筋肉がずっと縮んでいて、1日の中でほとんど脱力することなく、また伸ばされることなく過ごすとどうなるでしょうか?

それが1日だけではなく、毎日続けばどうでしょうか?

上手く使えば、問題なく機能してくれる筋肉も、使い方が偏ってしまうと、その機能は発揮されません。

肩こりを解消するには、この筋肉の特性を理解し、縮むこと・脱力すること・伸ばされることをバランスよく使っていかなければいけません。

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